実際の療育ケース&感想Case
ケース01
6歳 / 男の子
(セラピー期間 3歳〜6歳 / セラピー頻度 週2回)
セラピー期間 3歳〜6歳
セラピー頻度 週2回
最初のお悩み
3歳半でまったく話さず、癇癪がある
プログラミングの概要
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プログラムを計画するうえでどこに重きをおいたか
Picture Exchange Communication Systemを導入し、まずは自分の意図を他者に伝えるところから始めました。言葉が出始めてからは「明瞭性の改善」のための構音訓練と並行し、「ひらがな」を習得してもらいました。これは、言葉のインプットを聞いて学習するだけではなく目に見える形でも補助として行いたいという思いからです。言葉があまりでていない段階での「ひらがな」習得は早すぎる、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが状況によっては学習を飛躍的に伸ばすツールになります。言葉が出始めてからは「他者に正しく伝わるように文章を組み立てる」プログラムを組んだり、「首尾一貫してお話ができる」プログラムを行いました。
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実施したプログラムについて
言葉が出るまでは【Picture Exchange Communication System】を導入し、言葉がでだしてからは【構音訓練】で、母音を2音、3音と繋げたり、子音+母音の音を出す練習を行いました。また、【制服が着れない】という課題があったため、お母様には2つ同じ制服を出してもらい「どっちがいい?」とお子様に選んでもらうようお願いしました。これは「自分で選択をしたものは遂行する可能性が上がる」というエビデンスベースの提案です。その結果、選択肢がなくても問題なく制服を着ることができるようになりました。セラピーの最後の方には「〜が〜で〜したから〜だった」のような複雑な文章をお話する練習を行い、日常生活の中で困らないことを目指し練習を行いました。
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プログラムを行なった結果どのように変化したか
日常生活でのコミュニケーションはほぼ問題なくなりました。発達検査では以下の結果がでています。
・2歳11ヶ月 言語43 認知67 姿勢80 全領域 /
・4歳 0ヶ月 言語69 認知79 姿勢94 全領域 75
・5歳 2ヶ月 言語94 認知105 姿勢/ 全領域 98(新版K式2020上では発達の遅れなし)
ケース02
8歳 / 男の子
(セラピー期間 2歳〜6歳 / セラピー頻度 週5回)
セラピー期間 2歳〜6歳
セラピー頻度 週5回
最初のお悩み
言葉がなかなか出ない、保育園の集団行動についていけない
プログラミングの概要
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プログラムを計画するうえでどこに重きをおいたか
まずは言語行動の増加です。この段階で、適切な場面で適切な言葉を話すことは細かく狙わずに「言語の量を増やすこと」に特化しました。また並行して人から受けた質問に答えて欲しかったので、言葉を出すためのプログラムと人の指示を聞くことを強化するプログラムを並行して行いました。セラピーの年数を重ね、言葉が増えてからは社会性を整えるプログラムを実施しました
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実施したプログラムについて
言葉を増やす段階、人の指示を聞く精度をあげる段階では、【構文をする】や【スリーヒントゲーム】【「いつ」「なに」「だれ」「どこ」などに対する質問応答】などを、机上や遊びの中で行いました。言葉が増えてからは社会性を整えるプログラムである【他者の好き嫌いの特定】で保育園の友達の情報を集めたり、【話を聞く】プログラムでは、他者が話してる最中に自分の目はどこに向いて、手足はどのようにするのが他者にとって話しやすい姿勢になるのかの学習と練習を行いました。加えて、ロールプレイなどを利用し、目の前の他者が自分の話に興味があるのかないのか判断などの練習も行いました。
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プログラムを行なった結果どのように変化したか
プログラムを行った結果、基本的なコミュニケーションには問題なく、一対一での会話や遊びは違和感なく非常に上手になりました。2、3歳頃に嫌がっていた課題や遊びに関しても「このお勉強はお友達と楽しく話せるためにするんだよ」などの言語教示で予想が立つようになり、視覚的な支援等も使わずに言語のみでのやり取りがほぼ全ての状況で成立するようになりました。また、日常生活でもドラえもんなどのアニメをみて楽しむことが出来ています。
ケース03
5歳 / 男の子
(セラピー期間 2歳〜3歳 / セラピー頻度 週2回)
セラピー期間 2歳〜3歳
セラピー頻度 週2回
最初のお悩み
発語が遅れており、コミュニケーションが難しい
プログラミングの概要
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プログラムを計画するうえでどこに重きをおいたか
言語行動の増加です。言葉を出す前段階として要求などの働きかけが必要なのですが、そのあたりの反応が薄かったため絵カードを使って自分の遊びたいおもちゃや食べたい食べ物を他者に物理的に渡すことによって伝えるPicture Exchange Communication Systemから始めました。また、簡単な音声指示の理解と理解をした上で行動に移せるようにプログラムを組みました。
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実施したプログラムについて
【マッチング】や【単音模倣】など基礎的なプログラムはもちろん、【明瞭性の改善】のプログラムで現在出ている言葉の明瞭性をあげる練習を行いました。これはそうすることによって他者に理解してもらうことのできる言葉を増やし、コミュニケーションの優位性を経験してもらう目的です。また、言葉が少し出てきた頃から【うんとううんを使う】や【個人情報の特定】のプログラムで人から受けた質問に対して応答するなど、言葉を使って相互にコミュニケーションをとる練習を行いました。アカデミックスキルに関しては【運筆の練習】や【ひらがなの特定】のプログラムを実施し、就学に備えました。
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プログラムを行なった結果どのように変化したか
言語でのコミュニケーションはほぼ問題なくなりました。また、言語を習得したことによって家族との会話のモチベーションが上がった様子でした。今、現在は言語面も社会面もとても成長しお母様からは「不安が解消されました」とお言葉をいただいております。