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センサリートイとは?おすすめの商品や期待できる効果などをご紹介します
センサリートイとは
センサリートイはセンサリー(感覚)器官に『社会的に受け入れられる行動様式』で刺激をインプットするおもちゃや道具のことです。
他の文脈では触覚、聴覚、視覚を狙って使うように作られたおもちゃなどを指し、知育のおもちゃとして認知されている場合もあります。
センサリートイの目的と期待できる効果
どんな人間も自身の身体にある程度の刺激を感じることが必要と考えられています。その刺激を自分で感じさせる行動を自己刺激行動と呼びます。具体例としては、髪の毛を必要以上に触る、貧乏ゆすり、喉をならす動作などは日常の中でよく見られる自己刺激行動です。
個人が必要な刺激の量や強度は人によって大きく違います。特に自閉症児の場合は極端に刺激量が必要だったり、反対に過敏のため最小限に抑える必要があったりします。
また、多量の刺激を一気に受けた場合などは本来、感覚器官や認知機能が適切な量に調整をしてくれるのですが、自閉症児の場合はそれが難しいため感覚過敏や感覚鈍感と言われます。(感覚器官自体が過敏または鈍感なのか、それらの前にある調整器官のコントロールがうまくいかないのかは不明です)
そのような外部刺激からの感覚の認知調整が難しいことと、社会性が乏しい特性が合わさり周りの評価等を気にすることなく感覚を直接入力してしまうという行動になります。
足の先に刺激を入れたい場合、私たちが自分の手で足を揉むといった行動をする一方で自閉症児はつま先だちをして歩くかもしれませんし、私たちが口寂しいなと思った時にガムを噛んだりタバコを吸う一方で、手を口の中に入れたりおもちゃを噛むことをするかもしれません。これらの行動は刺激を直接入れることができますが、社会の中では適切とは言えない行動です。
そのため、このような行動を社会的に受け入れられやすい形式の行動に変容するためにセンサリートイを使うことができます。上記の定義をふまえ、今回は自身の身体に適切に刺激を入れるための道具という前提でセンサリートイの話を進めます。
センサリートイのおすすめ商品
フットマッサージャー
つま先立ちを頻回でしたり、足を定期的にどこかにぶつけたりすることによって刺激を入れている行動に対して適切に刺激を入れる目的でおすすめです。
足をぶつけたり、目的もなく何かを蹴ったりする行動が増えた場合にフットマッサージャーを数分〜10分程度使い足をぶつける行動の強度や頻度に違いが出てくるかを見ても良いかもしれません。
ジグラー
本来は噛むものではないものをかみ出した時におすすめです。よく聞くのが木製のつみきをかみ出した、シリコンの歯固めを噛み切ってしまったなどです。そのような場合に、口の周りや口腔内に適切な刺激をあげるために使います。
ジグラーはそれ自体が震えるので、それを最初は大人が子どもの口の周りに当ててあげながら、最後は子どもが自分で必要な時にジグラーを取りに行くように促してあげてください。
グニュグニュボール
手をどこかにぶつけたり、何か握ってはいけないものを握って触感に刺激を入れ出した時に子どもに握らせて使うのがおすすめです。
また、グニュっと出てくる動きが視覚的に刺激を入れる働きもするので、目をパチパチさせたり、手をヒラヒラさせて目に刺激を入れている子どもにも良いかもしれません。
手のひらに収まるサイズ感とおもちゃ、音などが出ない点から、外出した先や人がたくさんいる場所でも使用できます。
ウェイトブランケット
加重ブランケットともいわれるもので、一時期、安眠効果が期待できると流行りました。
自閉症児に使う際は各子どもの体重に合わせて使う必要がありますが、足をバタバタする時やジャンプなどをして身体全体が落ち着かない時は膝にウェイトブランケットをかけたり、肩からかけたりして使うことができます。
※就寝の際に子どもに使う場合は窒息する危険性があるので専門家の指導を受けてください。
ボディソック
中に入って腕や足を伸ばして身体に適切に刺激を返す目的で使います。
こちらもウェイトブランケットと同様に身体全体が落ち着かない時、または意味もなく部屋の中をずっと歩いている行動などを機能的に変容するために使うこともおすすめします。
ソックスの中に入って身体全体を伸ばすことで適度な運動量ができ、良い疲労感を与えることも可能です。
ラヴァランプ
こちらも視覚に適切に刺激を入れたい時におすすめです。中の色水が上下して不思議な動きをします。
横目で何かを見たり、回転するものをずっと見ている時にこのようなおもちゃで代用し、目に刺激を入れることができます。
日本にはセンサリートイが少ない
海外と比べて日本にはセンサリートイが少ないというのが実情です。
その理由は、海外とは異なり日本では不適切な刺激の入れ方を適切に変えようという考え方が浸透していないということが考えられます。
そのため、センサリートイが必要とされることも少なく、そもそもセンサリートイの認知も弱いままとなっており、あまり商品が流通もしていないのではないかと我々は考えております。
センサリートイを手作りする方法をご紹介
上記でおすすめしたラヴァランプは手作りが可能です。下記のYoutube動画で作り方を分かりやすく解説されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ボディソックスやウェイトブランケットの手作りに関して
他のボディソックスやウェイトブランケットは手作りは難しいと思いますが、ジャンプなどが止まらず身体が落ち着かない場合に重さの刺激を入れることは、個人差はありますが有効だと言われています。
体が落ち着かないけれども座って課題等をしなければいけない時などは加重ベストやぬいぐるみ型のリュックなどにビー玉を入れて重さを出し、身体に適切に刺激を入れるという方法があります。
ただし、どれくらいの重さを入れるかは専門家に指導を受けなければいけません。
実際のケースのお話
4歳男児のお母様の相談
「部屋の中を動き回りいろんなものを噛んだり、足をどんどんします。どうしたらいいでしょうか?」
確かに自己刺激が多いという印象でした。それと並行して、市販のおもちゃ等を機能的に遊ぶことが難しいという課題がありました。そのため、こういうのがあるよ、と伝えながらフットマッサージャーを彼の生活の範囲で行動する場所に入れてみたところ、自分で必要な時にフットマッサージャーをふむようになりまた。そのため、床で足をどんどんする頻度は少なくなり、フットマッサージャーを使う頻度が増えました。
行動の絶対量は変わりませんが、見た目(行動の様式)を変容させるという介入方法です。
このような形で社会的に受け入れられやすい形に自己刺激行動を変容をしていくことも行っています。
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