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自閉症の子どものパニックについて症状・対処方法・予防策などを詳しく解説します
自閉症の子どもがパニックを起こす理由やきっかけ
パニックを起こす理由やきっかけは子どもによってさまざまですが、例えば下記のような例が挙げられます。
・期待していたものと違ったけれど、「それはちがう」と言えないのでパニックを起こしてしまう(またはパニックを起こして回避しようとする)ケース。
・相手が言っている言葉の部分的な意味しかわからず、部分的な言葉に反応してパニックを起こしてしまうケース。例えば、「このおもちゃの注射、遊ぶの楽しそうだね」と声をかけたところパニックを起こしてしまいました。これは、言語発達が遅延していることが原因で文章全体をとらえず知っている単語「注射」のみを拾い反応してしまった例です。
・気持ちや身体の状態などを言語化できず、疲れていても大人に「~しなさい」と言われてパニックを起こしてしまうケース。
・言葉が話せても問題解決能力を持ち合わせていないためパニックを起こすことで問題を避けることができると学習しているケース
パニックの症状や特徴
パニックは俗にいう癇癪(かんしゃく)ということになりますが、行動的な特徴としては「ものを投げる」「泣く」「叫ぶ」「床に寝て暴れ回る」「自傷」「他害」など、一般的に問題行動と言われるような行動様式が現れます。
パニックを放置するとどうなるか
自閉症の子どもがパニックを起こした際に放置すると、長くて1時間以上そのままパニックを起こし続ける子もいますし、自分でパニック状態から落ち着くことができる子もいます。
長く泣き続けたり暴れ回ることは体力的にできない場合があるので、その場合は長くは続きませんが体力がついてくると長く泣き続ける子もいます。
自分で落ち着ける子は、独自のリラックス方法を持っており、それを過去に実践すると自分で落ち着けたという成功体験を持っているはずです。
そのため自分で落ち着くことができますが、独自のリラックス方法を持っていない子は落ち着くまで非常に時間がかかります。
その間行動様式によってはどこかに頭をぶつけたり擦り傷を負ったりすることがあるので、子どもも大人も双方とも怪我をしないように対応しなければいけません。
パニックを起こした際の対処方法
パニックを起こした際の対処方法は、パニックを起こした理由によりますので1例ずつ解説いたします。
【例①】子どもが、いきたくない場所、やりたくないことに対して「いきたくない」「やりたくない」と言語コミュニケーションができないため、要望とはちがうタスクが発生しそれを回避するためにパニックを起こすケース
このような場合、正しい行動はパニックによって要望とはちがうことを避けるのではなく、言語コミュニケーションをとり自分の意図を相手に伝えることが正しい行動となります。
そのため、対処としては「それはいやだ」「やりたくない」などの言葉を落ち着いて言ってもらうことです。きちんと言えたら、一時的にでも良いのでタスクはしなくても良いとし、言葉でのコミュニケーションに対して成功体験を積んでもらうようにします(そこから徐々に我慢へと繋げていきます)。
【例②】相手が言っている言葉の部分的な意味しかわからないケース
「このおもちゃの注射、遊ぶの楽しそうだね」と声をかけたところパニックになる。言語発達が遅延していることが原因で文章全体をとらえず知っている単語のみを拾い、注射の言葉のみに反応してしまったなどのケースです。
これはいわゆる誤解です。言語理解が弱い子にはよくみられます。誤解がとけるのであれば誤解をときましょう。(長期的には言語訓練を実施)
もしその場で誤解を解けない場合は外部的な働きかけ(おもちゃをあげたり、テレビをつけたりすること)によって、パニック状態からその場限りでも良いので気をそらすようにしてもらいます。
その後に、次回パニック状態に陥ることの内容に対処法を一緒に専門機関と考えましょう。
【例③】気持ちや身体の状態などを言語化できず、疲れていても「~しなさい」と言われてパニックを起こすケース
例①と似たケースです。こちらも気持ちの状態や身体の状態などを言語化してもらい、タスクを回避する成功体験を積んで欲しいです。
ただし、言語がほぼ出ていない子どもの場合は、サインやカードなどを使って自分の状態を他者に伝えるのでもいいですし、それも難しい子は外部的な働きかけによって落ち着くので良いと思います。
また、風邪などの体調が悪い時はパニックが出ないように、期待値のハードルを下げたり、環境調整をすることも必要かもしれません。
パニックを起こさないための予防策(再発防止策)
パニックを起こした際の対処も大切ですが、パニックを起こさないための対策(予防策)も大切です。予防策としては、パニックを起こすような原因に対してアプローチをしていく必要があります。
言語の誤解で起こるのであれば、言語訓練を行いましょう。
嫌なタスクから回避する方法がパニックしかないのであれば、他の社会的に受け入れられる行動でパニックを回避する成功体験を積むように練習をしましょう。
また、風邪などの体調が悪い日には、全体的な要求度を低く設定し、パニックを起こさない環境設定を一時的にしてあげるといいでしょう。
問題行動(パニック)の対処方法の原則は、8割は阻止、2割は問題行動が起こってしまった時の対処になります。そのため、まずはパニックを起こさせないようなスキルを身につけることが非常に大事です。
パニックを起こしたらどこに相談したら良いか
パニックの対処方法については、かかりつけの小児科や児童発達支援の通所施設、我々のような民間のABAエージェントが相談を受けています。
特に様子見ではなくきちんと対策を練り、その対策がパニックの増減と相関性があることを示してくれるところまでフォローアップをしてくれる機関を見つけましょう。
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