ブログBlog
自閉症教育の構造化について詳しく解説します
自閉症教育の構造化とは
自閉症教育の構造化とは、「時間」「環境(空間)」「手続き」を設計する作業です。
- ・ご飯は何時に食べる(または〇〇の前もしくは後に食べる)
- ・TVはここでみる
- ・寝る時はここで寝る
- ・脱いだ服はここに置く
- ・着る服はここから出す
など、要は、時間・環境・手続きを決めてしまい、変わらない環境を作るのです。
構造化の種類と具体例
時間の構造化
時間の構造化は、「7時に起きる」「8時半に家を出る」など、毎日同じスケジュールを設定します。
空間の構造化
空間の構造化は、視覚支援のカードを貼ってスケジュールを提示したり、置く物やその置く位置を決めてしまいます。そうすることで、毎回同じ行動で同じ結果が得られるような仕組みを作ります。
手続きの構造化
手続きの構造化は、「~したら~をする」や「~の時は~を使う」など、ルーティンを決めてしまい毎回同じにします。
具体例
これらを構造化した場合の具体的例としては、
毎日7時に起き、同じクローゼットから服を取り、バナナを朝食として食べるなど、同じ手順で朝の準備を済ませて外出します。
そして帰ってきた際は、同じテーブルの同じ椅子で夕食をとり、夕食が済んだらお風呂に入り、歯磨きを同じ手順で終えて就寝するといった感じになります。
構造化の目的やメリット(期待できる効果)
構造化の目的は、自閉症の子どもに環境に慣れさせて暮らしに必要な行動を定着させ、そこから行動を変えず(行動変容をさせず)に暮らしていくことです。
私たちは同じ「服を脱ぐ」という行動でも、家のお風呂で服を脱ぐ時と銭湯などの大衆浴場などで服を脱ぐ時とで行動を変えなければいけません。
家だと脱いだ服は洗濯機にすぐに入れるかもしれませんが、銭湯だと洗濯機に入れずに自分のロッカーやカゴに入れることになります。
このような小さな行動の変容が自閉症の子どもには非常に難しく、時にはパニックを起こすこともあります。
【自閉症の子どもパニックに関する記事はこちら】
自閉症の子どものパニックについて症状・対処方法・予防策などを詳しく解説します
そのため、構造化をすることにより変化を無くし、毎回同じ手順をふむことによりパニックがなくなるなどの期待できる効果があります。
構造化を行ううえで大切なポイント
構造化をするためには、行動のパターンを作らなければならないので、構造化した環境に合わせるために新しい行動を習得しなければいけないとなると元も子もありません。
構造化は自閉症児に、行動の期待値を設定し、行動の変容を必要とさせなくすることです。
そのため、今できていることを軸に時間・空間・手続きを構造化し、それを継続することが構造化の基本であり大切なポイントです。
構造化のデメリット(課題)について
構造化された中では毎回同じパターンで行動ができるのですが、時間が異なったり、貼っていたカードがなかったり、今日は「〜をする前に〜をしよう」など、いつものルーティンから外れてしまう時に行動の課題がでてきてしまいます。
構造化された環境外に行ってしまうと途端に行動ができなくなってしまう可能性は高く、いつもと環境が異なることからパニックになってしまうこともよくあります。
そのため、構造化された環境から抜け出しにくいということが大きな課題としてあります。
構造化とABAセラピー
構造化と弊社が提供しているABAセラピーはどちらが効果的なのだろうと考える人もいますが、構造化は手続きの名称であり、ABAセラピーは応用行動分析の学問の理論に基づいた行動療法の名称であるため、どちらが良いかなどと比較できるものではありません。
下記画像のようにABAセラピーの中に構造化があるイメージでして、ABAセラピーの文脈を使うとセラピーの中で使う一つのテクニックが構造化です。
我々ABAセラピストは、ABAセラピーを効果的に行うために構造化を利用します。
決まった場所で決まった手続きを行うことで決まった結果を得ることができるので、変化が苦手だと言われている自閉症児には構造化された環境下では学習がしやすくなります。
日常生活の中で変化をできるだけ発生させないという生活を送っていくのも一つの方法ですが、できるだけ子どもたちの変化に自ら対応する方法教えてあげるためにABAセラピーの中にある構造化の手続きだけでなく、他の手法も包括的に使うのがABAセラピーです。
とくに、毎回手順が変わらないお風呂の入り方や歯磨きの仕方などは構造化をすることによって教えても何も問題はありませんが、
しかし一方で、会話の仕方や着用する服など毎日毎日変わることを構造化することによって教えてしまうと変化があった時に対応することが難しくなりますので、構造化の手続きだけでなく他の手法も包括的に使うのがおすすめです。
一覧に戻る